苦くて濃いコーヒーは苦手。薄いコーヒーといったら、やっぱりアメリカンコーヒーだよね?
こんな疑問にお答えします。
筆者の私はコーヒーマイスターの資格を持ち、カフェ・喫茶店での勤務経験があります。
今回はアメリカンコーヒーについて、わかりやすく解説していきますね!
日本で昔から親しまれているコーヒーのひとつが「アメリカンコーヒー」です。
喫茶店のメニューだと「ブレンドコーヒー」とセットで書かれていることも多いですよね。
関連記事:ブレンドコーヒーとは何か。アメリカンコーヒーとの違いは?【特徴と魅力を徹底解説】
でもこのアメリカンコーヒー、実は単なる薄いコーヒーではないことや、アメリカではなく日本発祥のコーヒーだということは、あまり知られていないようです。
そこで今回は、アメリカンコーヒーとはどのようなコーヒーなのか、その由来と作り方をわかりやすく解説していきたいと思います。
- アメリカンコーヒーって薄いコーヒーじゃないの?
- アメリカンコーヒーの由来は?
- アメリカンコーヒーを自宅で淹れたい!
こんな疑問に答えていく内容となっていますので、ぜひ最後まで目を通していただけたら幸いです!
では、さっそく話を進めていきますね。
アメリカンコーヒーとは何か
アメリカンコーヒーとは、「浅煎り豆」を使ったコーヒーのこと
アメリカンコーヒーとは、「浅煎りのコーヒー豆」を使って淹れたコーヒーのことを意味しています。
よく勘違いされるのは、
- ブレンドコーヒーに比べて味が薄いもの
- ブレンドコーヒーをお湯で薄めたもの
ですが、正確には上記はちょっと違うんですね。
ただ、いきなり「浅煎りのコーヒー豆」といってもピンとこない方もいるかもしれませんので、簡単に説明しますね。
浅煎り豆=あまり火を通していないコーヒー豆
「生豆(なままめ/きまめ)」と呼ばれるコーヒー豆は、もともと白っぽい薄黄緑色をしています。
そこから熱を入れていく作業(焙煎)によって少しずつ茶色く変化します。
この「焙煎」という工程では、コーヒー豆にどれくらい熱を加えるかによってコーヒーの味に違いが出ます。
焙煎度による味の違いをザックリと表すと、浅煎り(熱を加える度合いが弱い)であれば酸味が強く、深く煎れば煎るほど苦味が強く感じられるようになります。
つまりアメリカンコーヒーで使う浅煎りのコーヒー豆は、そこまで熱を加えていない、酸味が引き立ちやすいコーヒー豆になります。
アメリカンコーヒー誕生の起源と由来
次は、アメリカンコーヒーがどんな経緯で生まれたのかを解説していきますね。
アメリカンコーヒー誕生の歴史や由来は諸説あるようですが、よく言われるのは以下の2つです。
- 昔、浅煎りのコーヒーをアメリカ人が好んで飲んでいたのを日本の喫茶店がマネし、「アメリカンスタイル」として出すようになった。
- かつてアメリカで普及していたコーヒー器具「パーコレーター(※)」で作った、あっさりしたコーヒーを飲んだ日本人が、日本でも同様の味のコーヒーをはやらせた。
1827年にフランスで考案されたコーヒー抽出器具。
挽いた豆と水を入れて直接火にかけて作る手軽さがウケて、高性能な抽出器具がなかった西部開拓時代のアメリカで普及しました。
一度にたくさんのコーヒーを淹れられることと、直火式で手間がかからないことから、現在でもアウトドアを楽しむ人には愛用者が多いです。
かつて、アメリカでは浅煎りのサッパリ・スッキリとしたコーヒーが好まれていました。
その味を日本でも再現したいというところから、「アメリカ式の」という意味でアメリカンコーヒーという名称のコーヒーが普及していったようです。
なお、アメリカでは薄めの軽いコーヒーは「weak(弱い) coffee」と呼ばれたりします。
その逆として使われるのが「strong(強い) coffee」。深煎りの豆を使った、苦味とコクの強いコーヒーです。
アメリカンコーヒーの特徴とカフェイン量
酸味を感じやすく、スッキリしている
アメリカンコーヒーでは、浅煎り豆の特徴である「酸味」が強く感じられます。
苦味が苦手であれば「軽くて飲みやすい」と感じる人もいるでしょう。
また、アメリカンコーヒーを淹れる際にも浅煎り豆の酸味の特徴を活かす方法がとられるので(後述します)、それもスッキリ感につながっているといえます。
カフェイン量は他のコーヒーとさほど変わらない
アメリカンコーヒーは、その軽い味わいから苦めのコーヒーよりもカフェインが少なそうと思われがちですが、実はそうでもありません。
ただ、コーヒー豆は焙煎を進めるごとに内部に含まれていた水分が蒸発して軽くなり、同時に膨らむ性質があるので容積が増えます。
そうなると、同じ軽量スプーン1杯分のコーヒー豆をすくった場合には、浅煎り豆よりも深煎り豆のほうがカフェイン量の少ないコーヒーができあがります。
一方、重さ(グラム数)でコーヒー1杯分に使う豆の量を計った場合には、浅煎りでも深煎りでもカフェインの量はほとんど変わりません。
アメリカンコーヒーの作り方【自宅でもできます】
浅煎り~中浅煎りの豆を用意する
アメリカンコーヒーを作ろうと思ったら、まず浅煎り豆を用意しましょう。
コーヒー豆を買うときに、「シナモン」や「ミディアム」(豆の焙煎度のこと)と書かれているものを選んでください。
「アメリカンブレンド」と名前がつけられているブレンドコーヒーも、たいてい浅煎り~中浅煎りで焙煎されていますので、そちらでもOKです。
豆は中挽き~中粗挽きにする
浅煎りの豆を使うのとあわせて、豆の挽き加減は、やや粗目(中挽き程度)にするのがポイントです。
コーヒー豆は、細かく挽けば挽くほど味が濃く出る特徴があります。
逆に、粗目に挽けば挽くほど味が濃く出にくくなるので、スッキリ感を強めたいアメリカンコーヒーの場合は、細かくし過ぎないほうが、それらしくなります。
抽出の際はお湯の量をやや多めにする
ハンドドリップする場合の手順は通常と変わりませんが、お湯の量をやや多め(コーヒー粉量10gに対して、通常の完成量が120mlだとしたら140~150mlくらい)にすることがポイントです。
また、水は軟水を使いましょう。
コーヒーの苦みは軟水に溶けにくい性質があるので、軟水だと浅煎りの特徴を感じやすく、豆本来の香りとさっぱりした味わいが楽しめるからです。
なお、日本の水道水や市販されているミネラルウォーターのほとんどは軟水なので、それで問題ありません。
【番外編】コーヒーにお湯を加えるのはアリ?
アメリカンコーヒーは浅煎りの豆を使うのがスタンダードとされていますが、あえて以下のような方法で「アメリカンコーヒーっぽさ」を楽しむこともできます。
- 深煎りの豆を使って、通常より2倍量のお湯で抽出する
- 中煎り~深煎りの豆で通常通りドリップしたものに、好みの量のお湯を加えてみる
など。
浅煎りの豆を使うと酸味を感じつつバランスのとれた味になりやすいのですが、中煎りや深煎りの豆を使うことで、酸味を抑えながらマイルドで軽い飲み心地のコーヒーに仕上げることができます。
私は浅煎り特有の酸味やフルーティーさがあまり得意ではないので、あえてこの方法で「アメリカンコーヒー風」をドリップすることもありますよ!
アメリカンコーヒーと関連したコーヒー
アメリカンコーヒーとカフェ・アメリカーノの違い
アメリカンコーヒーと似た名称のもので「カフェ・アメリカーノ」というコーヒーがあります。
こちらは、日本ではあまりなじみがないかもしれませんが、スターバックスなんかではレギュラーメニューにも存在します。
アメリカンとアメリカーノは名称こそ近いますが、作り方がまったく異なります。
アメリカンが浅煎りの豆を使うのに対し、アメリカーノでは機械で高い圧力をかけて抽出した「エスプレッソ」をお湯で薄めて飲みます。
エスプレッソの特徴は、コーヒーの味が凝縮して濃い味になること。
それをお湯で割ることで、コーヒー感は維持しながらもスッキリと、飲みやすい味わいになるのが特徴です。
エスプレッソでは通常、深煎りの豆を使います。
ですから、アメリカンコーヒーよりも酸味を抑えつつもコーヒーのしっかりとした旨味や風味を残し、それでいて軽く飲めるコーヒーを飲みたいときにはおすすめです!
アメリカンコーヒーとブレンドコーヒーの違い
アメリカンコーヒーとセットで語られることの多いブレンドコーヒーは、「味の濃さが違うもの」と思われがちですが、実はそうではありません。
ブレンドコーヒーとは、複数の種類の豆を混ぜて淹れるコーヒーを意味しています。
ブレンドコーヒーの味は、ブレンドの方法によって薄くもなれば濃くもなりますし、酸味が強くなったり苦味が強くなったりと、まちまちです。
ブレンドコーヒーについては、以下の記事で詳しく解説しています。
まとめ:アメリカンコーヒーは日本発祥。浅煎り豆を使って作られる
今回は、昔ながらの喫茶店では定番メニューになっていることも多く、根強い人気のあるアメリカンコーヒーについて解説してきました。
最近のカフェではあまり見かけなくなりましたが、スペシャルティコーヒーが普及していることもあって、アメリカンのような浅煎り豆を使った風味豊かなコーヒーを楽しめる機会は増えています。
もともと、日本では真っ黒な深煎りのコーヒーを好む傾向があったようですが、浅煎り豆の普及によって、よりコーヒー豆の特性を感じやすくなりました。
今回の記事が、皆さんのコーヒーの楽しみ方を広げるひとつのキッカケになればうれしいです!