コーヒーは好きだけど、カフェインは体によくないって聞いたことある。
あまり飲まないほうがいいのかな…。
こんな疑問にお答えしますね。
筆者の私は、SCAJ認定の「コーヒーマイスター」で、カフェや喫茶店での勤務経験があります。もちろんコーヒーが大好きで、毎日自宅でも飲んでいます。
コーヒーといえばカフェイン。
そんなイメージを持っている人も多いのではないでしょうか?
実際、コーヒーには比較的多くのカフェインが含まれています。
ひと昔前は「カフェイン=悪」みたいにいわれていた時代もあり、いまだにコーヒーは体によくないと思う人もいるみたいです。
ちなみに最近の研究結果では、適量のコーヒーはさまざまな病気のリスクを下げるという報告もされています。
そこで今回は、カフェインそのものの知識と、一度に摂取してよいカフェイン量の目安を紹介します。
加えて、最近よく耳にする「デカフェ」や「カフェインレス」のことまで、カフェインとコーヒーについてわかりやすく解説していきたいと思います。
- カフェインは本当に体に悪いの?
- どれくらいまでのコーヒーなら飲んでいいの?
- コーヒー以外の飲み物のカフェイン量は?
- カフェインを抑えたコーヒーはあるの?
こういった疑問を持っている方は、ぜひ今回の記事を参考にしていただけたらと思います。
カフェインの成分とは?
コーヒーに含まれる代表的な成分のひとつ
コーヒー豆には、多糖類、脂質、クロロゲン酸(ポリフェノールの一種)、カフェイン、トリゴネリンなど、数多くの成分が含まれています。
「生豆(なままめ、きまめ)」と呼ばれる焙煎前の白っぽい色の豆に火を入れていくと、色が茶色くなるにしたがって、少しずつ成分が変化することも特徴的です。
コーヒーのおいしさにつながる【酸味、苦味、コク、香り】などは、こうしたコーヒー豆の成分が大きく関係しています。
そんな多種多様なコーヒーの成分のなかでも「カフェイン」はコーヒー成分の代表格といえるもの。
カフェインには、以下のような効能があることが研究によって発表されています。
- 眠気や疲労感を取り除く
- 尿の排出を促す
- 集中力や運動能力のアップ
- 自律神経の働きを高める
このほか、体脂肪の燃焼や胃酸分泌などの作用もあり、医薬品にも使われている成分です。
単純に「カフェイン=苦味」ではない!
カフェインたっぷりのコーヒーは、とにかく苦いもの。
そんな風にいわれることもあります。
実際、カフェインには苦味成分が含まれているのですが、これだけがコーヒーの苦味を決定づけるわけではありません。
ある調査によると、コーヒーの苦味を決める最も大きな成分は、ポリフェノールの一種である「クロロゲン酸」を加熱したものとされています。
カフェインやクロロゲン酸のほかにも、コーヒーの生豆に含まれる多様な成分が焙煎(火を入れていくこと)によって複雑に変化し、苦味を生み出します。
1日に摂取可能なカフェイン量は?【飲み物別に比較】
日本では明確な基準がない
カフェインの適正な摂取量に関しては、実は日本では明確な基準が設けられていません。
ですが、国際機関等からいろいろなアドバイスや注意喚起がされていますので、各国の発表内容を見てみましょう。
アメリカでは、保健福祉省(DHHS)および農務省(USDA)が、「健康な大人では、1日当たり3~5カップまたは1日当たり400mgまでであれば、心血管疾患などカフェインの慢性的毒性のリスクは増加しない」としています。
ヨーロッパでは、欧州食品安全機関(EFSA)が、「習慣的なカフェイン摂取に関しては、妊婦を除く大人では1日当たり400mgまでであれば健康リスクは増加しない」としています。
カナダでは、年齢やケース別に以下の推奨摂取量を定めています。
・4~6歳の子ども:1日当たり45mg
・7~9歳の子ども:1日当たり62.5mg
・10~12歳の子ども:1日当たり85mg
・妊婦や母乳で保育している母親:1日当たり300mg
・健康な大人:1日当たり400mg
このように見ていくと、健康な大人の場合、カフェインを1日に400mgくらい摂取することは問題ないと考えられます。(※ただし、体格やカフェインの感受性によって個人差がありますので、心配な人は医師などに相談することをおすすめします)
コーヒーのカフェイン量を他の飲み物と比較
1日に摂取可能なカフェイン量の目安がわかったところで、コーヒーのカフェイン量について見ていきましょう。
コーヒーのカフェイン量は、レギュラーコーヒー浸出液(コーヒー豆の粉10gを熱湯150mlで浸出した場合)で、約60mgです。
だいたい120ml~150mlが一般的なコーヒー1杯分の量とされるので、1杯飲むと約60mgのカフェインを摂取することになります。
先ほど紹介した1日に可能なカフェイン摂取量でいえば、健康な大人では、120mlで6杯くらいまでなら大丈夫ということになります。
ちなみに妊娠している人でも、コーヒーは絶対NGとはされていません。
WHO(世界保健機関)は、「カフェインの胎児への影響はまだ確立していないものの、1日3~4杯までにすべき」と発表しています。
次に、コーヒー以外にカフェインが含まれているドリンクのカフェイン量についても紹介します。
- 玉露(茶葉10gに60℃の湯60mlを加え2.5分浸出した場合):約160mg
- 紅茶(茶5gを360mlの熱湯で1.5~4分間浸出した場合):約30mg
- ウーロン茶(茶葉15gに90℃の湯650mlを加え0.5分浸出した場合):約20mg
- コーラ:約10~13mg
※出典:全日本コーヒー協会
おいしい日本茶として名高い玉露ですが、カフェインの量は圧倒的に多いですね!
小さめの湯飲みであっても、1日に何杯も飲んでいる人は気をつけたほうがよいかもしれません。
また、国民的飲料のコーラは一見カフェインが少ないように見えますが、500mlのペットボトルを1本分飲めば、約50mg~65mgのカフェインを摂取することになります。
カフェインはとり過ぎなければ怖くない!
以前、カフェイン中毒で亡くなった人のニュースが話題になりました。
その結果、ますます「カフェインは怖いもの」というイメージが根付いてしまったかもしれません。
ですが、急性カフェイン中毒になったり、死に至ってしまったりするのは、短時間に、普通ではとらないくらいのカフェインをとった場合です。
「普通ではとらないくらいのカフェイン」をコーヒーに置き換えると、健康状態や体格など個人差も大きいのですが、数時間の間に数十杯も一気に飲み続けるような状態だといわれます。
たとえ1日使うとしても、コーヒーを50杯~100杯も飲むなんて、とてもできませんよね…。
実際、ニュースで取り上げられたカフェイン中毒の例では、多くのカフェインが含まれたエナジードリンクや錠剤を大量に摂取していたそうです。
甘くておいしいからといって1日に何本も飲んだり、エナジードリンク以外にもカフェインが含まれている飲み物をたくさん飲んだりするのは気をつけたほうがよさそうです。
また、眠気覚ましで使われるカフェイン入りの錠剤も、使用量を守ることは必須ですね。
過剰摂取した場合、中毒にまでならなくても、めまいや不安感、頭痛、不眠などの悪影響が出ることがあるので注意しなくてはなりません。
カフェインをとりたくない人でも飲めるコーヒー
コーヒーが大好きなんだけど、妊娠してるからやっぱりカフェインが気になって…。
コーヒーを飲むと、どうも眠れなくなる気がする…。
安心してください。そんな人でも飲めるコーヒーはあります!
カフェイン量を抑えてあるコーヒーの種類
カフェインはとりたくないけれどコーヒーは飲みたいという人は、以下のようなコーヒーを選んでみてはいかがでしょうか。
本来カフェインを含んでいるものから「カフェインを取り除いたもの」を意味します。
カフェインはわずかに(1~10%程度)含まれています。
英語では「Decaffeinated(デカフェネイテッド)」といい、それを略したのが「Decafe(デカフェ)」です。
海外発祥のコーヒーショップを中心に、よく使われている言葉です。
「カフェイン含有量が少ないもの」を意味しています。
明確な基準はありませんが、カフェインはわずかに含まれています。
市販のカフェインレスコーヒーだと、「97%~99%カフェインカット」といった商品が多く見られます。
和製英語で、日本だけで普及している言葉です。
「もともとカフェインがまったく含まれないもの」を意味しています。カフェインはゼロです。
現在、一般的に見かけるカフェインが少ないコーヒーは、たいてい「デカフェ」か「カフェインレス」。
ノンカフェインのコーヒーはほとんどないと思います。
まとめ:コーヒー1杯のカフェイン量は、健康を害するほど多くない
コーヒーは、1日に3杯~5杯程度であれば、健康を害することはないといわれています。
また、妊娠中の人でも、1日に3杯くらいまでならとくに胎児への影響はないと発表されています。
ですが、カフェインに対してどう反応するかは、個人の体質や体調も大きく影響するようです。
実際、私の知り合いにもカフェインの感受性が高く、コーヒーや緑茶をちょっと飲むと頭が痛くなったり、眠れなくなったりするという人がいました。
一方、私は夜中にコーヒーを飲んでも眠れなくなるようなことはないので、やはり慣れや体質もあるのだろうと実感します。
最近では、デカフェやカフェインレスコーヒーの味も良くなって、さまざまなお店がこだわりの商品を出しています。
カフェインに対して不安を感じている人も、自分の体と相談しながら上手にコーヒーのある生活を楽しんでほしいと思います。